超超オンボロアパートの話

高校を卒業して音楽の専門学校に進学するために上京しましたが、その専門学校を1年間で辞めて、半年間地元の鳥取に帰ってました。(その半年間は僕の人生で最も濃いといっていい時間なのでいつか文章にしたい)

そして再び上京するわけですが、お金もないしとにかく家賃の安いアパートを探していました。

 

そして見つけた、東京都練馬区桜台オンボロ荘。

池袋から電車で8分の桜台駅まで徒歩8分の好立地。

閑静な住宅街に佇む築40年の歴史ある木造アパート。

トイレありお風呂なし2Kで家賃はなんと・・・

 

23000円!!!

 

23000円!!!!!!!!

 

 

23区内、しかも池袋近くの好立地でこの家賃はちょっと破格じゃないですか。

敷金礼金なし、更にフリーレント(最初の一か月家賃免除)だったので、格安の初期費用8万円ちょいで借りることが出来ました。

 

お引越しは12月。

夢と希望を胸に抱き二度目の上京だ!

 

まずは不動産屋さんで鍵を受け取り、説明を受ける。

電気ガス水道は大家さんの方で既に契約済みで、家賃と込みで請求されるらしい。

それは振込じゃなくて、オンボロ荘の隣に住む大家さん宅まで出向いて直接お支払システム。

ふむふむ。

 

早速入居だ!!

建物はどうみてもオンボロです。お部屋は2階だけど廊下を走ったり飛んだりしたら底が抜けるんじゃないか。

部屋は中身は全体的に少し汚いけれど破格の家賃と築40年ということを考えたらそれくらいは全然いいでしょう。

トイレの水の流し方が上から垂れてる紐を引っ張れば流れるというものでした。こんなの初めて見た!

お部屋のドアも変わっていて、鍵穴に鍵を入れて開けるというのは普通なんだけど、閉めるのは鍵でなく、ドアノブの真ん中についた丸いでっぱりを押しながらドアノブを捻ると閉まるというものでした。

うっかり部屋に鍵を置いたままに閉めると締め出されるという罠仕様。

古き良き物件ということなんですかね。

 

そして一抹の不安が。

キッチンの引き出しを開けてみると謎の黒い粒がポツポツと。

なんだこれ・・・?

別の引き出しを開けてみると、前に住んでいたと思われる中国人宛の借金の返済催促ハガキが大量に入っていました。

何故そのままにしてあるの・・・?

 

まあまあ!

何か害があるわけでなし別にいいかー!!

 

 

 

入居から1か月。

初めての家賃支払いが近付いてきました。

ある日帰宅すると部屋のドアに紙が貼ってありました。

 

イノウエ様

家賃23000+水光熱費5000円

合計28000円

 

こう書いてありました。

なるほどねー。

 

そして大家さんのおうちへお支払に行く。

ピンポーン、ピンポーン。

・・・出ない。

いないのか、また出直さなくては。

 

翌日の朝にもう一度行くと今度は出てくれました。

大家さんは80歳くらいの小さなお婆ちゃんでした。

まずはおうちに上がらせてもらって、お茶を頂く。

そうするとお婆ちゃんが僕に家賃手帳なるものを渡してきました。

支払うとこの家賃手帳にスタンプを押してくれるというシステム。

なんだこれ面白い。

そんなこんなで初の家賃支払いを終えました。

 

それかは何事もなく暮らしていました。

近くのスナックのカラオケがあまりにうるさいことを除いては特に問題はなかったです。

むしろお金が全然なかったので白飯にマヨネーズや刺身醤油をかけて食べるといった自らの困窮具合がやばかった。

 

問題が出てきたのは暖かくなった4月からです。

 

ある日帰宅すると、買っておいたお菓子やレトルトカレーの袋が破れている。

そして部屋中に黒い粒々が。

それらの犯人はすぐにわかりました。

ネズミです。

だって柱の陰にいるんだもん!!

 

それからは毎日ネズミが出没するようになりました。

何度掃除しても毎日現れる黒い粒々、これはネズミの糞です。入居初日に見た引き出しの黒い粒々も糞だったのか。

眠ろうとしても近くを動いているネズミの足音が気になって眠れない。

電気をつけてふと柱を見ると3匹のネズミがささーっと柱を駆け上っているところでした。

それを見て鳥肌が止まらなくなりました。

ネズミ捕りを仕掛けると2匹引っかかっていました。

切なげに苦しげに「きゅーきゅー」と鳴いています。

その声でまた鳥肌が立ちます。

 

何度ネズミ捕りを仕掛けても全く勢いの衰えないネズミ軍団。

もうお部屋に食べ物は置いていないのに何故現れる。

ネズミがいるから部屋に帰りたくないし、ネズミが怖いから全然眠れないしで、ノイローゼになってしまいました。

 

大家さんに相談するも「ネズミくらい出るさー」と取り合ってもらえない。

え・・・ネズミを気にする方が間違っているの・・・?

それくらいの強い精神力が求められる猛者たちの棲家だったのか・・・。

 

8月終わり頃にとうとう限界が来たのか、退去もしていないのに新しくアパートを借りてました。

家賃7万4000円、家具家電ロフト付き、風呂トイレ別、水光熱費とネット料金も家賃に含まれるから使い放題・・・。

正直契約した時のことを全く覚えていないし、このあとオンボロ荘をどうやって退去したのかもよく覚えていないのです。

完全にノイローゼでメンタルやられていた。

ただ引っ越した後の爽快感はよく覚えています。

 

ネズミに怯えず眠れる幸せ!!

お菓子の袋を放置してもネズミに食い散らされない幸せ!

部屋中にネズミの糞が撒き散らされていない幸せ!

綺麗なお部屋!自宅にお風呂!!!

脱出した!脱出したぞ!!!!!!

 

 

 

それから数年の月日が経ち、引っ越しを考えて不動産屋さんに行った時にこんな会話をしました。

 

「僕、前に桜台に住んでて、オンボロ荘っていうところなんですけど」

「え・・・?あそこ住んでたんですか?あそこやばいって有名ですよ。初めて住んでた人に会いましたよ!」

 

そうか、やっぱりやばかったのか。と変に納得してしまいました。

 

 

今でも部屋で物音がするとネズミがいるような気がします。

ゴキブリなんて全然怖くないどうでもいい、ネズミに比べればなんてことない。

 

 

お部屋選びは大事です。

特にネズミが出るかどうかはこのブログを読んでくださっている皆様もよくよく気を付けてお部屋選びをしてください・・・。